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企業の存続率って知ってる?10年後6%は本当なのか?

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 日々仕事をしていると何かとお会いする、「独立して◯◯年目です」と言う起業家の方々。サラリーマンから抜け出し自身で生業を営むことは並大抵のことではない。一言いって凄い。

私の周りにも若い起業家はいる。日本の社会を盛り上げていって欲しいものだ。(私は独立願望はまだないが)

最近、仕事上でお付き合いのある企業が5周年を迎えたらしい。自身に置き換えると、独立からの5年ってどんな感じなのだろうか?想像もつかないし見当もつかない。従業員を雇用するって凄いことなんだなと思う。

ところで、起業した際の存続率ってご存知だろうか?会社が何年後どれくらの数が生き残っているのか。

よく耳にするのがこちらの数字。

  • 1年後:40%
  • 5年後:15%
  • 10年後:6%

これでいくと、開業から10年後には9割以上が無くなっていることになる。

ふと思ったのだが、これは本当なのだろうか?自身の周囲を見渡しても「5年目:15%」は信じがたい。

今回は企業の存続率について調べたのでまとめてみようと思う。

10年後には9割以上が倒産?

 まずは、先述した以下のデータを調べてみた。

  • 1年後:40%
  • 5年後:15%
  • 10年後:6%

探し方が足りていないのか、どこのソースの情報なのかははっきりしなかった。

2005年の国税庁のデータとされているサイトを見つけたが、元ネタがないのでなんとも確証は得られない。

1年後に6割が、5年後に8割が潰れてしまうとは、生き残った会社凄すぎないか?

従業員に話をする際や、コンサル会社がプレゼンする際に使用されていて、数字がひとり歩きしてしまっているのではなかろうか。10周年パーティーの際に「当社は6%の生き残りに入った」と言われたら、「何かすげーー」となるよね。

2011年と2006年の中小企業白書

 調べていると「2011年 中小企業白書」「2006年 中小企業白書」の二つの調査データを見つけたのだが、この二つも結果が異なっていた。

2011年 中小企業白書

2011年度版中小企業白書の中に第3-1-11図として以下のデータが記載されている。

  • 1年後:97%
  • 5年後:82%
  • 10年後:70%

こちらを見ると予想以上に高い生存率だ。10年間も企業を維持し雇用を守ることは凄いことなのだが、7割の企業と聞くと10周年パーティーで大々的に言うことではないのかもしれない。

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中小企業庁:中小企業白書(2011年版)全文

2006年 中小企業白書

2006年度版中小企業白書の中に第1-2-21図として以下のデータが記載されている(前年からの存続率のため計算し直した)。 

  • 1年後:73%
  • 5年後:42%
  • 10年後:26%

こちらを見ると5年後には6割の企業が、10年後には7割強が無くなることになる。先ほどのデータに比べ5年後には約半数と社会が厳しいことがわかる。

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中小企業白書 2006年版

なぜデータに乖離があるのか?

 三つの存続率を見てみたが、どれも数字に開きがある。これはなぜかと言うと。

計算に使われている母数が一致してないからである。

一つ目の2011年度版中小企業白書では、帝国データバンクの「COSMOS2企業概要ファイル」を利用している。こちらは約140万社の企業を対象にしたデータで、資本金や従業員数をある一定に絞って出しているデータとなる。日本に存在する企業は約420万社

つまり、母体がしっかりしていてる企業が対象とされているため、生存率が高いのではと予想される。

対して、二つ目の2006年度版中小企業白書では調査対象を以下としている。

この条件を満たす統計として経済産業省「工業統計表」を用いた。ただし、同統計の設計上、集計対象は製造業に限られ、また従業者4人以上の事業所に限定されていることに留意が必要である。

こちらのデータは製造業を分析したデータとなる。

このように調査対象に開きがあるので数字に開きがあるようだ。

どっちの数字が正しいかなんて、知りたい調査対象によって異なるため一概に言えないだろう。

データを使うならソースを調べよう

 私が勤めている企業は、現在子会社が増えてきており10社以上存在する。事業が増えてきているため、従業員の会社への理解が低くなっている現状がある。

そのため今一度、会社の理解と帰属意識の向上を図るために何かしてくれないか?と依頼があった。

まずは、子会社向けにグループ全体の会社説明を実施することとし、それに向けて資料の作成をしている中で企業の存続率を調べていたと言うのが今回の記事の経緯である。

以前に「10年後の企業存続率は1割」とどこかのWebサイトで見たことがあったが、よく考えると企業にとっては都合が良すぎる数字だと思う。ウチの企業すげーだろ?って言いやすいからね。

今回は、国税庁のソースは残念ながら見つけられなかったが、やはり思うのが「何かのデータを用いる時はソースはどこなのかは知らべないといけない」と言うこと。

上司に提出する資料で、あれやこれや聞かれて回答できず失敗に終わった経験はあるはず。私は息もできず落ち込みまくった経験がある。

「どこかで聞いたことがある」で資料を作ってはダメ。楽なのでそうしがちだが、資料を作成する時はしっかりと調べる癖を身につけたいものである。

まあ、調べたデータが信憑性あるかは謎であるが‥