なかなか断捨離できない理由は保有効果のせい?
物を最低限しか持たない人たちをミニマリストというそうですが、あそこまで物がない生活はいかがなものかと思う。言葉が先行している感がすごくするのは私だけでしょうか。
とはいえ、片付ける際にはいる物、いらない物と分けていきますが、「これは一応置いておこう」と意味わからん物を確保してしまう時があるかと思います。で結局、片付け前とほぼ変わらない量になるんですよね。
これって、自分の所有物に対して出る、保有効果というものが関係しているんですよね。
今回は、この「保有効果」ってどういうものなのかを書いてみようと思う。
自分の物には価値があると感じる
お店の棚に陳列されている段階では自分の所有物ではなく売り物です。この時には「これが○○円てちょっと高くないか」と思ったりします。しかし、いざ購入して使用し始めると、その物に対しての見方が変わってくる。
仮に、普段使っている所有物に対して、金額的な評価をつけるとなった場合、購入金額と同等の評価をつけるはずです。
例えば、1万円で購入した釣竿を手放そうかなと考えていたとする。買取市場では半値の5千円が相場であった。しかし、所有者はその釣竿を相場より高い8千円と評価していたので、結局買取金額に満足せず売るのをやめた。
これが、「保有効果」といわれるもので、自分が所有しているモノに価値を感じる現象です。
保有効果とは
保有効果とは自分が所有している物に高い価値を付け、その物を手放すことに対して抵抗感を感じるという心理的な効果のことをいいます。先述したように、本やゲーム、服、家財をリサイクルショップに持っていった時に、「え、こんな安いの」と感じたことはないでしょうか。自分が所有している物には市場価格より高く評価してしまうということです。
なぜ保有効果が起きてしまうかというと、その物に「愛着」があるからです。例えば、10年間住んだ家には、嬉しさや苦悩、思い出がいっぱい詰まっている。物を売りに出す人が、その対象物を高く評価してしまうのは、この愛着が原因だといわれています。
マグカップの評価額はズバリ?
アメリカの大学で行われた実験に、こんなものがあります。
学生を2つのグループに分け、一方のグループには大学のロゴマーク入りマグカップを与える。もう一方のグループには何も与えない。
マグカップを与えたグループのメンバーに「あなたが持っているそのマグカップ、いくらだったら売りますか?」と聞いたところ、答えた数字の平均は5.25ドルであった。
一方で、何も持っていないグループに同じマグカップを見せ、「あなたはこのマグカップ、いくらだったら買いますか?」と聞いたところ、答えた数字の平均は2.75ドルであった。
まったく同じマグカップなのに、持っている人と持っていない人とでは、評価金額が倍近く乖離してしまう。これは面白い現象ですよね。
このように、人は自分のものになっている場合高い評価を与え、できればそれを手放したくないと考えるのです。(まあ、大学のロゴ入りマグカップなんていらないですけどね)
保有効果のその他事例
「自分の所有物に価値を感じる」という保有効果を、上手く利用しているなと感じている事例を2つあげてみたい。
- 接客業のお試しトーク
- 通販番組の返品可能システム
1)接客業での保有効果
お店に行って接客を受けたことがない人はいないと思います。この時、店員が必ずいう言葉で、「良かったら一度試着して(手に取って)みてください」というのがあるが、これも保有効果を活用したものではないかと思う。
服屋さんてやけに試着をすすめてきませんか。これって、一度手にさせ、身にさせることで、自分の所有物と思わせているのではないか。上手いなと思うのが陳列されていない新品在庫をわざわざ出してくるときです。誰も手にしていない物を自分が試着することで、自分の物であるかのように錯覚します。
時計屋、宝石屋とかも同じですよね。ショーケースから手袋をつけて出された時にはドキドキしますよね。
ポイントは、一度手に持たせる(身につけさせる)こと。これをしているのと、していないのとでは購入率に差が出てくるはずです。
2)通販番組での保有効果
通販番組では手に取らせて、買わせるというフローはできません。買ってから手に取るになります。なので、よくいわれるのが、「効果がなければ返品可能です」という返品システムです。
「一度手にした物は価値ある物として手放したくない」と思う心理現象を逆手に取った施策です。これは、上手いですよね。使用させれば保有効果により手放したくなくなる。でも、そのためには注文をさせないといけないので、返品システムを活用して保険があると思わせている。
宅配できた商品を送り返す時って、よっぽど不備があった場合じゃないですか。そこそこの商品であれば、そのまま使用し続けるのではと思う。
まとめ
物を捨てられない理由は保有効果が作用しているからだといえそうですね。一度所有して時間が経過すると愛着がわく、すると価値あるものと思ってしまい、手放したくなくなる。
いる物、いらない物、と区別できない人は、この保有効果を強く感じてしまうのかもしれないですね。
また、人は新しい物を得るよりも、今ある物を失いたくない傾向にあります。よくいうのは、「人は現状維持を最も好み、変化を嫌う」変化した時の労力を考えるならば、目に見えないメリットの魅力は低くなり、結局新しい物の採用を見送ってしまう。
書いていて思ったのですが、保有効果を理解することで、営業スキルを上げれるかもしれないですね。もう少し勉強してみて、時間がある時にでも研修のカリキュラムを作ってみましょうか。