【読書】世界を変えた10冊の本 / 池上彰
世界では常に何かの問題が動いている。その背景にあるのが、様々な歴史的な問題や、宗教的な問題だ。
歴史をひも解けば、世界に影響を与えた本は多数出てくだろう。
当書は、「世界を変換させた」本を池上彰氏が紹介していくといった内容。
大まかにまとめると以下のとおり。
- 民族迫害
- 三大宗教
- 消費社会と禁欲的信仰
- 環境汚染
- 進化論と神
- 大きい政府と小さい政府
以上の基本的概要が当書を読めば少しは認識できると思う。
では、紹介されていた10冊を箇条書きでまとめていく。
アンネの日記
- ユダヤ人少女が書いたと言われる日記
- イスラエル建国の鍵
- 中東問題の原因
- 国連は強気に出れない
- 策士ヒトラー
- この日記が世界を動かすきっかけに
聖書
- 三大宗教の起源
- ユダヤ教が旧約、キリストが旧約と新約
- アダムとイヴ→カインとアベル→ノアの箱舟→アブラハム・イサク・ヤコブ→モーセ
- ユダヤは律法を、キリストは信仰を重んじる
- ローマ帝国がキリスト教発展の鍵
- チェルノブイリはヨハネの黙示録で預言していた?
- 避妊は神の意思に反する行為(原理主義の一部)
- 安息日の度合いは宗派によって違う
コーラン
- 旧約、新約聖書の一部も経典としている
- キリストの三位一体説を否定
- 預言者であるムハンマドは神ではない
- ジハードで死ねばすぐ天国に
- 六信五行
- 空腹に耐える→神を思う→宗教意識が高まる
- 一夫多妻制は4人まで
- 4人とも平等に接さなければいけない
プロテスタンティズムの倫理と基本精神
- 宗教と経済の関係性を論じている
- プロテスタント(特にカルヴァン派)の予定説
- 職業とは神から与えらた天職
- 職業を「召命」と捉え、神のために働く
- 人間のために仕事があるのではなく、仕事があるから人間が存在する
- 厳しい禁欲が資本主義の発展に
- 神に選ばれていると信じるために働く
資本論
- ブルジョワジーとプロレタリアート
- ロシア革命のきっかけ(共産主義思想)
- 資本家と労働者→貧富の差激化→労働者団結→革命
- 人間の労働にこそ価値がある「労働価値論」
- 商品の交換価値は労働の量による(X=Y=Z)
- 労働者は自分の労働力を資本家に売っている
- 給料は労働力を回復するための賃金(労働力の再生産費用)
- 機械化が進めば商品の値が下がるので、給料も下がる
道しるべ
- ビンラディンの教本
- サイイド・クトゥブが獄中で執筆した
- エジプト人教師がムスリム同胞団を作った
- イスラムこそが健全な価値観を持っている
- 腐敗した理想を正さなければならない
- 人間は神のもと平等で、主権は神にあり
- コーランを遵守することは神の主権に従うことと同じ
沈黙の春
- 世界が環境問題に取り組むきっかけに
- 科学製品の危険性を論じている
- 化学兵器の実験から農薬が開発された
- 食物連鎖による毒物の蓄積
※まだまだ勉強が足りない
種の起源
- 人間は猿と共通の先祖から枝分かれした
- キリスト教徒からは批判
- 元は同じ種が枝分かれして、多様な種が生まれたという考え
- 適者生存の理論
- 変異→生存闘争→自然淘汰の流れ
- ノアの箱舟を否定(一掃ではなく自然淘汰)
- アメリカでは進化論を教えたらアカン州がある
- 一部のクリスチャンは、進化の「設計図」を神が作ったと解釈
雇用、利子および貨幣の一般論
- 大きい政府
- 波及効果をもたらす乗数理論
- 公共事業で経済を活性化
- 波及していかない財政支出は産業発展はない(山の中の道路とか)
- 非自発的失業者
- 経済悪化→賃下げ→所得減→消費減→商品需要減→企業の利益減→経済悪化
- 労働者の賃金切り下げは、社会全体の需要を減らすことにつながる
資本主義と自由
- 小さい政府
- リバタリアニズム(自由至上主義)
- 変動相場制を提案した
- 政府の役割を制限し、権力は分散させるべき
- 政府の存在は必要ではあるが、最小限に抑え脇役に
- 自由な市場は差別を減少させる
- 景気対策は通貨の量のコントロールが必要
- 累進課税の代わりに一律税率を主張
補足
アンネの日記について、よくいわれている説がある。
日記はシオニスト達の捏造なんじゃないかという説。
ドイツのホロコーストをネタに、イスラエル建国を成し得たのではという内容。
これを知ったとき思ったのが、政治には歴史が武器になるということ。
最近で言えば、従軍慰安婦なんかが話題だ。
歴史認識を軽んじるわけではないが、 「それ、直接的にアナタに関係してないやん」とか「もう何年も前の話で、お互い成長してるし良くない?」と思ってしまうのは私だけか?
本気でデモや活動をしている人がいるのはわかるが、その裏でチャンスといわんばかりに被害者感を出している人もいることも事実である。
反省すべき点はあれど、うしろばかり見ていても大きな前進はない。
お互いが一線引いて妥協する日が必要。そう思う。