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【読書】アナロジー思考 「構造」と「関係性」を見抜く / 細谷功

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 社内の研修でよく話をする内容がある。「例え話を使いこなせる、営業マンになりましょう」

話がわかりやすく説得力のある人は、例え話の上手い人が多いように感じる。

例え話とは、「話の対象と別のモノをつなぎ合わせて話をする」ことで、これにはコツと練習が必要である。

本日は「アナロジー思考 - 構造と関係性を見抜く-」をまとめながら、私なりの例え話しのコツについて書いていこうと思う。

実はみんなが使っているアナロジー

 研修中に話をしている「例え話」について考えてみると、自身の経験と持論で研修をしており、これといって勉強をしたことがなかった。なので改めて勉強することにした。

読んでいて改めて感じたのが、普段特別に意識していないだけで、私たちの生活にもこのアナロジーが存在しているということ。

われわれは、新しい服を買っても改めて「服の着方」から学ぶ必要はない。

おっしゃるとおり、知識と経験をベースにモノを考える思考法は誰でもやっていることである。

ゼロから考えていると思いきや、どこかで知り得たモノと当てはめている。

では、誰もが使用しているアナロジーとはなんなのか?

アイデアは既存の知識の組み合わせ

 本のタイトルにもある「アナロジー」とは 、以下コトバンクからの引用。

ギリシア語アナロギアanalogia(〈比〉)に由来する語で,〈類推〉〈類比〉〈比論〉などと訳される。複数の事物間に共通ないし並行する性質や関係があること,またそのような想定下に行う推論(類推)。

-コトバンク 百科事典マイペディア

類推とは、似ている点をもとに他のことを推論することである 。

当書では、対象物とそれに関係しないジャンルのモノとをつなぎ合わせることで、新しいアイデアを練りだす、ということで説明されている。

「新しいアイデアも結局はすでにあるモノの組み合わせでしかない」とよく言いうが、まさにその通り。

今、世の中で使われている機器、仕組み、概念これらは「既存 × 既存」で生み出されている 。

著者が言っている内容によると、類推する先は遠ければ遠いほど斬新なアイデア、考えになりる。

アイデアを出すときには、掛け合わせる「既存の知識」の領域がどこに存在するかが重要。

つまり、一見関係なさそうな領域から引っ張ってくることが、斬新なアイデアの捻出条件だということだ。

自分の環境は特殊だと言って、目に触れる範囲でしか物事を考えれなくなると、良いアイデアはでないということである 。

3つの目的「理解」「説明」「創出」

 アナロジー思考には、3つのパターンがある。

  • 自分の理解
  • 他人への説明
  • アイデアの創出

自分の理解の為のアナロジー

 何かを学ぶ時は、自分の知っていることに当て込めながら考えると思う。

色々な経験をしている方はその分理解が早い。新入社員と中途社員への商品研修をすれば差がすぐわかる。

この時に頭の中で何が起こっているかと言うと、「対象物(学ぶこと)と、自分の知っている知識の類似点を、つなぎ合わせて理解しようとする」これが無意識に行われている。

新入社員と中途入社とでは、理解のスピードが違うのはこのためである。

他人への説明のアナロジー

 誰かに何かを伝えるためには、「例え話」を用いるのが最も効果的。

本文にこう書かれている。

例え話というのは、聞き手にとってなじみのない、未知の事象や概念を説明する場合に、それと類似する、聞き手にとってすでになじみのある領域と関連付けることで理解を促進させるという手法です。

相手に何かを伝える時は、未知の領域のモノを例にして話をしても理解に至らない。

「例えばフィギアスケートで言うところの」と言っても、フィギアのことがわからなければ伝わらない。

つまり、相手が知っているモノを把握しないと例え話は成立しないということ。

新しい発想のアナロジー

 アイデアや発想はゼロから生まれるのではなく、既に存在するモノの組み合わせであったり、観点を少し変化させたモノである。

アイデアの種は二通り。

  1. 自分の過去の経験
  2. 習得した知識(他人の歴史)

発想力を鍛えるためには、ジャンルの異なる分野から、「借りてきて組み合わせる」ことが必要。

また、知識のボトムアップも重要。

発想力のある人は「遊び心」があると感じる。様々の経験が知識のボトムを広げるのに繋がっている。

※ちなみに、この「発想力」こそが当書の中で多く解説されていた内容。

今回は、例え話にフォーカスして書くが、例え話の本ではないのであしからず。

似ている要素は二種類ある

 ここからは「例え話」について私の持論となる。

例え話とは、AとBの似ているところを探して噛み砕くことを言う。

この似ているには二つの要素がある。当書の中では「表層」と「構造」解説されていた府が少しわかりづらい。

簡単に説明すると、「見た目、音、同ジャンル」と「仕組み、流れ、方向」と言ったところだろうか。

見た目や音、同ジャンルでの類似性では良いアイデアにはたどり着けない。近すぎると単なるパクリになる。

アイデア創出の際は違うジャンルの仕組みが似ているものから類推するのが一番良い。新しい音楽機器のアイデアとしてiPodから類推しては意味がない。

このように似ている要素には「表層」と「構造」の二つの種類があるということ。

例え話はバランスが重要

 先述したのはアイデア創出の場合。例え話においては「表層」と「構造」のバランスが大切である。

近すぎてもダメだし、遠すぎてもダメ。

先日、女性の友達に「鏡餅みたいな体系してるな」と言ったら「はぁ????怒」と食いぎみに怒られた(いつもの慣れ合いの範疇)。 

失礼な発言ということは、ひとまず置いとくとして。

「鏡餅みたいな体系」これは例え話において重要な、お互いの類似点をつなぎ合わせるという作業をしている。

「鏡餅のフォルムと、体系のフォルム」のように、お互いのフォルム(構造)をリンクさせている。

一見簡単なように思うが意外とポイントがある。

著者によれば、この見た目のフォルムは「表層的類似」になり、アナロジーの神髄ではないと言う。

ただ、例え話においてはこれで良い。

何故なら、「聞き手が腑に落ちるか」どうかが大切だからだ。

モノを例えて表すときには、2つの重要項目がある 。

  1. 対象者が知っている事柄(モノ)で例える
  2. 遠すぎず、近すぎない事柄(モノ)で例える

「既存の知識」かどうか

 いくら良い例えでも、聞き手が知らないモノであれば伝わらない。

未知の領域のモノで例えてられても全然ピンと来ない。

「例えば、ルーターを設定するときのPPPoEみたいなもんだよ」みたいな感じ。

これやと、「はぁああ??」となるはずだ。

「例える先の距離感」が適しているか

 例えたい内容との距離感が、近すぎる・遠すぎるモノだと効果が薄くなる。

「マツコデラックスみたいな体系しているな」これは近すぎるので、上手い例えではない。直接的すぎる。

「アメリカ大陸みたいな体系しているな」これは遠すぎるので、意味が分からない。

例える先が近すぎれば新鮮さがなくなるし、反対に遠すぎても腑に落ちなくなる。

普通の人なら思いつかない類似点だけど、ちょっと考えたら思いつく、だからこそ構造的になりすぎない微妙なバランスが大切だと言うことである。  

以上、2項目を守ると割と良い例え話ができるはず。

ちなみに、株とアイドルの選考会は似ていると思わないだろうか?

 (どう似ているかは最後に説明する)

インプットする時は共通項探し

 少し長くなったがこれで最後。

次は学ぶ段階での思考法

「何かを経験する時には、頭の引き出しにいれる」と、自己啓発本に良く書かれているが、半分合っていてもう半分は間違いである。

入れるだけではダメで、「これはあれと似ているな」と思いながらインプットすることが大切。 

「ETCカードって、水戸黄門の印籠とか、しょぼい奴が言うヤクザの知り合いがいると似ているかも」みたいな感じ。 

それが、あってるか間違ってるかは抜きにして、○○と似ているかもと思いながら学ぶことが良いインプットの方法。 

先述したが、「アイデアの種は、自分の過去の経験と習得した知識(他人の歴史)になる」これはまさにそう思う。

ダメな人は自分の経験からしか学ばず、できる人は他人の歴史からも学ぼうとする

様々なジャンルと当てはめながら憶えると、理解が深まり使いたいときに、取り出しやすなる。

話に深みを持たせるため、経験したことがないことは積極的にやろう。強よくそう思う。

 株とアイドルの類似点

 さて、株とアイドルとの類似点について。

どこが似ているかというと、ずばり「トレンド」と「将来性」の二つ。 

株を選ぶ場面をイメージして欲しい。

数ある上場企業の中から、市場のトレンドや、企業の将来性を判断し投資を行う。

選ぶ基準としては、自分が好きな企業に投資する投資家は少ないはず(投機目的に限るが)。

「大多数が買う=需要がある=株価が上がる」となる。

アイドルも同様に数ある応募者から、トレンドも含め応募者のポテンシャル(将来性)を読み選考する。

自分好みの容姿や性格で選考しても、成功しないであろう。

つまり、どちらも大衆に好かれること大前提で、「トレンド」と「将来性」が選ぶ基準として類似しているということである。

いかがだっただろうか。自身の成長にも、相手の理解にも、新たなアイデアにも役立つ「アナロジー思考」。

類似性を見つけ出すこの能力、是非とも身につけたいものだ。