【読書】ライ麦畑でつかまえて / JD.サリンジャー
今回は、小説が苦手な人でもスラスラと読めてしまう。そんな一冊について書こうと思う。
当書は青年のバイブルと言われている。主人公のなんともいえない社会(大人)への反抗と否定、失望が全編を通して語られている。
私は、小説が苦手で入り込むまでに時間がかかり、たいてい途中で断念してしまう。
昔は少しなら読めていたのだが、今となってはムズムズする感覚がある(言い回しがまどろっこしく感じてしまう)。
ところが、こんな私でもスラスラと読めたのが、この「ライ麦畑で捕まえて」だ。自分でも驚き。
ストーリー仕立てというより、語りというか、なんというか。奇妙な語り口調なので、じわじわと癖になる。(そもそも、本が嫌いな方は向いてないかも)
amazonにて即買い
当書を知ったのは、5年前の大学生の頃。
大学のゼミの中で、朝日新聞の天声人語を読んでスピーチをする時間があった。
その際に、著者サリンジャー氏の死去に伴ってコラムが書かれてあり、当書の存在を初めて知ったた。
しかし、当時は本に全く興味がなかったので、手に取ることはなかった。
つい先日のこと。よく行く飲み屋で飲んでいる時に、渋い外人のおじいちゃんと出会った。
話をしているとそのおじいちゃんが、「The Catcher in the Rye(洋書版)」を鞄から出してきておすすめしてきたのだ。目をキラキラさせて。
そして、「OK〜!Yeah!読む読む」的な感じのその場のノリでAmazonにて購入したわけだ(英語だったので、何を言ってるかわからなかったが、多分すすめられてたと思う)。
購入経緯はこんな感じ。おじいちゃんありがとう。
物事を否定して生まれる視点
さて感想はという、正直なところ多くの方が絶賛するポイントがよくわからなかった。おじいちゃんごめん。
社会(大人)の偽善、インチキ、虚栄などに対し、主人公の少年が批評しまくるといった感じで、思春期のよくわからない葛藤とか青臭い感じがぷんぷんする内容。
ストーリー自体にそこまで深く感じるところが無く最後まで読み切ったといった感じ。
レビューなんかを見ると「もっと若い時に読めばよかった」などと書かれてあるが、少年時代に主人公のような物事を懐疑的に見る目があったかな?と思い出すと私にはなかった。
主人公のモノの見方はひねくてれると言えばそれまでだが、懐疑的にモノを見つめる視点は素晴らしい。
「自分の妥協線との葛藤」という部分に、共感できない人は読んでいてつらいかもしれない。
- 批判的な洞察力の必要性
- 社会に対する不信感
最後まですんなり読める人は以上の二つを改めて感じさせらるはず。
社会には「本音」と「たてまえ」があるように、不透明な部分はなくならない。
白か黒かがはっきりしないモノなんてごまんとあるし、それとどう向き合うか、どう考えるか、どこで割り切るのかという方法しかない 。
全ての人が通るであろう成長する過程での自分の境界線への葛藤、そんなことを考えさせられる一冊であった。
最後に
文中の中で共感した言葉を紹介する。
死んでから花をほしがる奴なんているもんか。一人もいやしないよ
生きている内に欲しい。そうつくづく思う。
ちなみに、私の一番好きな小説は辻仁成氏の「目下の恋人」。
こちらも、是非おすすめしたい一冊だ。