【読書】メディアリテラシー世界の現場から / 菅谷明子
メディアが流す報道は真実なのか?事件の報道を見るたびにそう考えてしまう。
事件→記者(企業)→私たち、という時点で第三者の主観が入ってもおかしくはない。メディアリテラシーという言葉があるように、情報を使いこなすことが現代を生きる上で大切である。
当書は、メディアリテラシーを学ぶために購入した中の一冊。
内容はと言うと 「メディア教育の現場や団体、人物のルーツを調査した」という感じで、正直私が期待していた内容ではなかった。
学びはあったが、深いものではなく再認識をしたといった感じ。
カナダ、イギリス、アメリカのメディア教育を追った取材記といった印象で、メディアリテラシーとはなんぞや?を知りたい方は消化不良になるかもしれない。
これからメディア教育を教えていく、教育関係の方たちは参考になると思う。
読み終えて感じたことは、昔も今も変わらず受け手側の意識が大切なんだなということ。
当書が書かれたのは2000年なので15年ほど経過する。今では、Webという媒体が生活において普遍的なものとなり、Webを軸にしたモノ(商品、考え方、価値観 etc)を前提とした流れに変化した。
(2000年といえば、ADSLがキラーコンテツとなりインターネットが爆発的に普及をした年)
ただ、当書の内容が2015年のこの社会において、不適切で時代は変わったという印象はない。
むしろ、昔も今もたいして変わらないと思う。
媒体(メディア)にこそ変化があるが、根本の流れは変わらない。
「メディア→受け手側→消費」
つまり、受け手側は結局はなんらかの形で消費しているということ。
メディアから流れる情報をどう消費するかは、受け手側の問題でありモノの見方なのではないだろうか。
物事に対して批判ベースで考える
いわゆる、クリティカルシンキング。
当書では、前述したとおり三ヶ国の教育現場で、メディア教育の取材をされている。
思ったのは、海外は宗教や歴史をベースにものを捉えることが普通なのだということ。
海外では、人種・宗教によりモノの捉えた方が極端に異なる。
それは、よりステレオタイプな考えへと繋がっていると感じた。
書内のあるクラスの授業会話を抜粋。
「食べ物のCMには、黒人はほとんどでてこない」「CMに出てくる家族は、決まって優しいお父さんとお母さん、可愛い男の子と女の子」
- 食品のCMはどうして白人なのか?
- どうして幸せな家族構成は4人なのか?
このクラスでは黒人もいれば白人もいる、片親の家庭は半分近くいたという。
- 女の子は綺麗にしときなさい
- お兄ちゃんはしっかり者でいなきゃ
と世間一般では言われが、これはどうなのだろうか?
女の子はこうあるべき、兄はしっかりしてないといけない。など、ステレオタイプ的な捉え方ばかりだと偏向した考えになる 。
メディアに対しても同じことが言えるのだが、バイアスがかかるのはわからなくもない。
メディアも企業なんですね
企業も目的をもって行動している。つまり、作成者側には意図がある。
だからこそ、製作者の裏の真意はなにか?と問う事が重要である。
よく「右より」なのか「左より」なのかと言われるが、日本の新聞社を例に出すと分かりやすい。
- 朝日新聞、毎日新聞は左より
- 読売新聞、産経新聞は右より
「新聞、テレビは中立的」と思っている人は多いと思うがそうではない。
12/14に衆議院総選挙が行われた。
結果としては自民党が291議席(自公で326議席)で勝利したが、翌日の各新聞社の見出しが違った。
- 朝日・・自公大勝/維持
- 読売・・自公圧勝
- 毎日・・自民微減
- 産経・・与党圧勝
こう見ると、自公が勝利したがそれぞれの書き方が異なる。
圧勝なのか大勝(維持、微減)なのか。
私たちが普段触れているメディア(新聞、テレビ)には必ず意図がある。
何気ないフローの情報でも批判的な捉え方で「何故?本間にそうなの?」と自分で考えることが重要である。
これからは、もっと意識して生活していこうそう思う。